万屋「和華蘭堂」

きまぐれに、というかその日の気分で毎日話題決めて徒然と書きます

漫画の話をしよう

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本好きというのは実際そうだが、本が好きだからといって他の娯楽を軽蔑している
つもりはない。先日某大学の教授が本の文化的価値というのをつらつらと述べていたが、個人的に本が優れた文化の産物であると私は全く以って思っていない。なぜならゴミみたいな本が小学校のグラウンドを覆うほどにあるだろうからだ。勿論いい本は良いし、読んでいて楽しむこともできるし、感動もする。しかしだからといって本だけが根本的に優れているというのはどうかと思う。

それに関連して、たまたま今漱石の「坊っちゃん」を読んでいるが、これはもう誰もが認める「名作」なのだろう。しかしその主人公は実際作内に「精神的活動」「自己改善」などという言葉を使って自分の価値を挙げようとする文学教師を訝しく思うのもまた事実なのだから、この議論はやはり漱石の時代からあるのだろう。

少し前置きは長くなってしまったが、上のことを踏まえて今日は漫画の話しをしようと思う。日本では漫画文化が非常に盛んで、何代も前から漫画を読んで育ったという人はいる。先日日本人の先生の話だと、彼女の子供の頃はリボンかなかよしか、当時の少女マンガ雑誌が真っ二つに分かれていたようだから、それが窺い知れる。

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オランダでもコミックはベルギー産の「タンタンの冒険」や「スパイク・アンド・スージ」、1952年初刊のドナルド・ダックの週刊雑誌、それにアメリカから輸入された「マーベル」などがあり、今でもフリーマーケットで売られている。考えてみると自分も子供のころは本当によくこれを読んだり集めたりしていた。

そんな自分だが、なぜか高校に入るとめっぽう小説に時間を取られることになった。どちらかというとオランダで見るコミックというのは漫画より子供向けのものが多いのもそうだが、単に小説を読むのは時間がかかるというのもあろう。オランダ語や英語で小説を読む週刊はそのまま日本語の小説を読む関心に移り、その所為漫画を読まない日本学科の学生になった。これはめっぽう珍しい。漫画の方が手に入れやすいということかもしれないだろうか。

しかし勿論上に述べたように小説だけがえらいということは決してない。漫画でもいいものはいいのだし、感動もする。結局オランダに住んでいて漫画に触れる機会は日本関係のイベントで徐々に増え、またアニメや映画を見て、今度は漫画を読むというのがよくある。そのおかげで「銀のさじ」「宇宙兄弟」「ソラニン」「二十世紀少年」「バクマン。」など、様々な私にとっての「名作」に出会えた。

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何が言いたいかというと、要は娯楽に貴賎なし、格付けをつけて「ある種の娯楽は下賎で楽しむに耐えないから読まない・見ない方がいい」というのは止そう、って話だ。勿論作品のよしあしは歩けど、メディアの種類のよしあしは基本ないと思う。そんなことに囚われていたら楽しめるものも楽しめないし、楽しくない人生に意味などない。
人生色々あるにせよ、何も拒否せずに素直に物事を楽しめる人間でありたいと思う。

しかし、それはまた別のときの話。