万屋「和華蘭堂」

きまぐれに、というかその日の気分で毎日話題決めて徒然と書きます

スウェーデンの話をしよう

ようこそ、万屋「和華蘭堂」へ!

世の中、様々なところがある。暑いところもあれば、寒いところもある。私はどちらかといえばあつがりで、寒いところを好む。なぜなら40度過ぎたら服を脱ぐのにも限界があるのに対して、寒いときはいくらでも服を切れるし、寒さを遮断するものまであるわけだから対処しやすい。昔は暑いところでも平気だと思っていた私だったが、11年前にエジプトを経験したときに転換し、北の国を夢見るようになった。

そしてヨーロッパで雪国といえば、やはり北欧、スカンディナビアが代表的であろう。エジプトの数年前か後は、ひと夏スェーデンの夏を経験し、べネール湖畔の町の近くのお父さんの同僚の別荘に暮らしていた。まさにかの児童小説「長靴下のピッピ」のような家であった。日本人には馴染みがあるだろうか? 近いもので言うなら「赤毛のアン」なのだろうか? どうせなら、読者の便宜を図って、想起しながら書こう。

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とにもかくにも、3階建ての縦横に大きく広い建物で、開放的で日当たりがよく、周辺に見渡す限りでも家が遠くに一つ、またひとつというあんばいだ。広い敷地が草花に覆われ、奥に忘れ去られたような離れで木屑が散らばり、中々入りづらい。小川一つはさんだところに、その離れよりもさらに落ちぶれた家屋がぽつんと立っており、窓ガラスが割れており、クモが巣をめぐらしていて、まさしく幽霊屋敷のようだった。特に当時は10歳前後だったから、畏怖の気持ちを持って遠くから妹と観察したりした。

家自体は何せ広いから、リビング、キッチン、ダイニング、子供部屋にバンクベッドが四つ、真ん中に広い階段が四角い螺旋状で上階へいけた。二回はバスルームがあり、トイレがあり、マスター・ベッドルームがあったはず。そして一番上に言ってみると天井が高い屋根裏部屋があり、オランダ製のボードゲームや家具、鏡台や色んな雑貨が雑然として並んであった。途中で親戚の叔父さんおばさんも一緒の家で一週間過ごしていたわけだから、おそらく二階には複数の寝室があったのだろう。

こうして書いてみるとまるで推理小説や怪談に出てくるようなもので、多少は記憶の脚色があるにせよ、ものすごい場所で夏を過ごしたものだと思った。おそらく私の幼少期が、どんなに幸せな物だったのか、私は生きているうちに忘れてしまったのだろう。しかし、こうやってたまに思い出すぐらいが多分、ちょうどいい。そしていつの日か私も10歳ぐらいの子供がいて、「夏休みの間、どこに行こうかしら」と嫁に聞かれたら、私は北欧と答えるのだろう。そんな未来が待っていたら、頑張れる気がする。

しかし、それはまた別のときの話。